靴のお手入れ法
毎日の手入れは、柔らかい布で拭くだけで良いですが(起毛革はブラッシング)、本格的な手入れをする場合は、以下のように行うのが一般的です。
一般的なツヤ革(スムースレザー)
まず、汚れや埃をブラシで落とします。アッパーと本底の間や縫い目、カカト、しわの奥など埃の付きやすい部分は入念に行って下さい。これは、通気性の向上と次に行うクリームの浸透を良くする為に行います。
次に、靴に栄養補給を与えます。指先に巻き付けた布にクリームを付け少し力を入れながら小丸をかくように少しずつずらしながら、まんべんなくすり込んでいきます。これは、靴の劣化を防ぎ、長持ちさせる働きがあります。キズなども補色します。
次に、ツヤ出しを行います。ブラシでクリームを表面全体に馴染ませます。また、余分なクリームがあった場合、布などで取って下さい。ツヤが出るのと同時に通気性を良くします。
最後に仕上げです。仕上げは、防水スプレーを使って靴全体に吹きかけて下さい。防水スプレーを使用することで汚れがつきにくい靴になります。
鏡面磨き
靴の磨き方の中で、「鏡面磨き」というのがあります。名前のとおり、自分の顔が映り込むほど輝かせます。 その一部始終を動画で撮影しましたので、ご覧下さい。
こんにちは。 当店には、靴や足のトラブルで来られるお客様がたくさんいらっしゃいます。
中には、履いている靴が原因で足にトラブルを抱えてしまうお客様もいらっしゃいます。 もっと事前にお教えしていれば、未然に防げたかも知れない、と考えるようになりました。 ただ、ご来店頂いたお客様に、その都度、お教えするのは難しいことです。 しかし、一人でも多くの方に靴の事を知って頂きたい、良くなって頂きたい。
そこで、当店では水曜日は定休日ですが、毎月第3水曜日だけセミナーを開催することにしました。 質疑応答が気軽にできるよう、少人数制にしています。
足や靴にお困りの方、ご連絡下さい。売り込み等は一切致しません。
単純に靴や足のお話、靴の手入れ等のお話をさせて頂くだけです。
そして、参加された方に自分の足に興味を持って頂き、その結果、 病気などならないよう、予防できるように自分で自分の足を守るようにして頂きたい。そのお役に立てたらと思います。
感染症対策により、オンラインによるご相談にも対応しております。
お客様に幸せと健康を届ける靴屋 シューズサロンタグチ
田口 善彦拝
【二本足で立つということ】
約400万年前人間が二本の足で立つことを覚えた時、地球上の他の動物達と決定的な違いを持つ事になりました。 直立二足歩行は脳を発達させ、文明を生み、飛躍的な進歩をもたらします。もし、四本足だったら、人間の文明は存在しなかったとさえいわれています。その理由は、四本足のままではいまほど脳が発達しなかったと推測されるからです。二本の手と二本の足に分かれた人間は食事をするとき、しゃがんだり、地面に顔をつけて食べる必要がないので、頭は軽くなくていいわけで、その結果脳が発達できたといわれています。けれども、二本の足で立つ事の弊害をもつことになってしまいました。
【一日平均5〜600トンの重さを足に受けている】
ゆっくり歩くときで、一歩踏み出すごとに足にかかる重さは、体重の20パーセント増し平均7,500歩いたとして、人間は一日平均5〜600トンの重さを足に受けているといいます。また、走ったりしたとき、足にかかる力は体重の3倍、跳んだ時は6倍になるそうです。
【カカトが大切】
足の骨のカカトの50%がカカトの骨にあたります。歩いたり走ったりするときカカトから着地するため、この衝撃に耐えるためにカカトの骨が大きくなったと考えられています。
【足へのストレス】
前述のとおり、足にかかる負担の大きさは考えも及ばないほど大きいです。足に一日5〜600トンの重さがかかっているのだから、足に合わない靴を履いたり、アスファルトのように衝撃の大きい道路の歩行が足にとって、悪い刺激かどうか想像がつくと思います。脳にも悪い刺激となって影響します。脳が支配する自律神経やホルモン分泌などに異常をきたし、内臓に何らかの支障が出る事も考えられています。
人が猿と違って、バランス良く立って長時間歩けるわけは?
猿は、二本足で立って歩くことができても長時間は持続できません。
【拇趾の違い】
猿は、手足とも人間の手と似て拇趾が他の4本と離れて向き合うようにあり、物をつかむのに便利なようにできています。 ところが、人間の拇趾は他の4本と同様に足の先端部分に平行状についていますので、物をつかむ事が出来ない代わりに地面を蹴ることができ、スムーズで長時間の歩行が可能になったのです。
【足の裏がアーチ構造】
足の外側の縦アーチ内側の縦アーチ、横アーチの3つのアーチがドーム球場の丸天井の様な作りになっています。 人間がバランスよく歩けるのはこのアーチ構造があるからでこれがスプリングに役目を果たし底面からの衝撃を吸収し、荷重を分散させて無理なく身体を支えるとともにスムーズな歩行を可能にするのです。 このアーチが形成されないと体重が十分支えられず、歩行もスムーズにできない為、長時間歩いていると疲れたり、ひいては、身体の部位に使用をきたしたりします。
靴下のシワやヨレを伸ばし、靴の中に異物などが入っていないかを確かめながら靴を履きます。
地面に足裏全体をピッタリつけた状態で、靴ひもを軽く結びます。
結び目が緩まないように靴ひもを引っぱりながら、「トントン」と2〜3回かかとをつき、さらに靴ひもを引っ張り足首をしっかり固定させます。
前かがみになった状態で爪先を曲げながら靴ひもをしっかり結びます。靴が足の曲がりや足首の動きを理想的にサポートしてくれる靴の履き方です。
外反母趾のお悩みについて。靴が原因となるトラブルの中でも多い外反母趾のお話しです。
外反母趾は靴が原因であることが多いです。
足の裏は、人体表面の面積のわずか1%しかないにも関わらず、普通に立っている状態で、人間の体重の50%は両足のカカトにかかり、残りの25%が親指の付け根にかかります。ハイヒールのように、カカト側が高く前足部が低く細くなっている靴を履き続けるととくに前足に負荷がかかり、先の細い靴の形状に沿って親指が圧迫を受け、その状態が長期にわたると変形してしまいます。外反母趾の95%が靴が原因で起きるといわれています。
6cm以上のハイヒールは、荷重が前足部に偏り、支点が爪先から指の付け根にかけての狭い面積に集中するため、 安定性が悪く、足の筋肉も常に緊張状態で疲労しやすいです。
ヒールが高い分、カカトから着地する自然歩行がしにくくなり歩幅も狭くなります。さらにヒールの高さだけ体が前傾するため、 そのバランスを取る必要から膝、腰への負担が多くなります。できることならば、ハイヒールの長時間の使用は避けるべきです。
ウォーキングタイプなどの運動生の良いもので、撥水・汚染防止加工されたものが理想的です。
歩行時間が長いと足の膨張量も多くなるため、やや多めにゆとり量をとるので、そのため調節機能を持つ靴紐が良いでしょう。
幼児の足のプロポーションは、趾の開きが大人より大きく、歩行が極めて不安定なことから、 靴の爪先部は広めで、爪先はやや反り返ったものが良いです。
爪先が余っているとつまづいて転びやすいので、成長分以上の大きさは不要です。 さらに、幼児は発汗が激しいので、吸放湿性に優れたソフトな素材が理想的です。
高齢者の足は骨格の変化や筋肉の衰えなどで、両足を開いたままの歩行となり、歩幅も狭く、すり足状態になります。 したがって、爪先部はゆったりしたもの。アッパーはソフトな革で足首まで包む深物が良く、 また歩行が不安定なうえ骨折しやすいので底材は滑りにくいものを選ぶとよいでしょう。 全体的には歩行に負担の少ない軽いもので、通気性より保湿性を重視したものが望ましいです。
成人の発汗量は、一日に両足でコップ半分以上で、湿度の高い日や暑い日、 運動の後にはその二倍にも達することもあるといいます。日本の夏は、靴内がとくにムレやすい。 したがって、サンダル、バックベルト、オープントウなど開放部の多い靴、もしくは通気性の良い甲材を使ったメッシュ、 チュールなどの靴が良いです。 発汗に対しては、合成皮革よりも天然皮革あるいは吸湿性の良い材料を使った靴の方が効果的です。 また、同じ靴を長時間使用しないで、2、3足の靴を交互に履くことが望ましいです。 冬のシーズンは寒さに対応した保湿性が大切。ブーツなど足を包む面積の多い方がむろん保湿効果はあるが、 裏材にボア、キルティング、その他保湿性のある材料の併用が効果的です。 また、本底からの冷たさを防ぐには、断熱性のあるウレタン底が効果的です。
雨や雪の日は、防水性と撥水性を第一に考えます。防水性ではゴム系、プラスチック系の素材の一体成形の靴。 ただし、素材と製法の性質上、防水性はほぼ完全ですが、通気性に劣り、さらにデザイン的にも限定されるという欠点があります。 撥水性の素材は天然皮革、合成皮革、合成繊維などの素材で、デザインもほぼ一般靴と変わらず、バリエーションもあります。 また、素材によっては雨、雪をはじき、通気性のあるタイプもありますが、完全防水ではないので注意が必要です。 以上のことを考慮して、状況によっては履き分けを励行することが望ましいです。
靴には、地面からの衝撃を緩和させるという大切な機能が備わっていなければなりません。 そのため底材の選び方は、それを使用する路面状況も考慮に入れる必要があります。 現在の都会では大部分が舗装されており、その衝撃を緩和させる適度なクッション性を持った底材が必要です。 また、土、砂利道ではクッション性とともにグリップ性も必要で、さらに雨、 雪の路面では防滑性のある底材も考えなくてはなりません。